中部地方整備局と交渉 ~東海地協~【17.09.29】

要請書を手渡す横山東海地協議長(右)
 2017年9月13日(水)、東海4県で構成される全建総連東海地方協議会(東海地協)は名古屋市合同庁舎2号館(中区丸の内)にて、国土交通省中部地方整備局と交渉を行いました。毎年、その時々の国の施策に対しての要望や発注部局として建設労働者の処遇改善をもとめて行っています。

 全建愛知から横山東海地協議長(顧問)、井上書記長、曾我賃金対策部長、吉田書記が出席し、全建総連・他県組合役員を合わせた11名で交渉に臨みました。整備局からは兼定総務部建設専門官をはじめとする6名が対応しました。

 横山東海地協議長より「公共工事設計労務単価は2013年の大幅引き上げ以降連続して引き上がっているが、我々建設職人の賃金には反映しておらず、上昇すべき賃金と実態賃金の差は大きくなっています。技能者の高齢化や離職が進む一方、低賃金、労働環境の悪さ、社会保障が不十分などにより若年層はなかなか入職しません。これらの実態を理解していただき、建設労働者の適正賃金確保・労働条件改善にご尽力いただきたい」と交渉の趣旨を述べた後、6項目からなる要請書を手渡しました。


【要請内容】

1、建設労働者の適正賃金・単価の確保について
(1)設計労務単価の連続した引き上げは、政策的に技能労働者の賃上げを求めるものと理解していますが、その実効性が問われています。私たちの調査では、現場に従事する者の賃金は公共工事、民間工事問わず、微増または横ばいにとどまっています。このままでは若者にとって魅力ある建設業とは程遠い現状を打破する事はできず、若者の入職は期待できません。貴局発注の公共工事にあたっては、公共工事設計労務単価の日額水準を下回らないようにして下さい。
また、末端労働者に適正な賃金が支払われるよう、受注業者に対する指導を徹底して下さい。設計労務単価と実際に労働者が受取る賃金に隔たりがある場合には改善に努め、適切な賃金が確保されるよう実効性のある指導を強化して下さい。
(2)国土交通省土地・建設産業局長通達「下請契約及び下請代金支払の適正化並びに施工管理の徹底について」が建設業四団体に対して発出されていますが、貴局からも地域の元請企業に対して同様の要請を行って下さい。
(3)公契約条例の制定が全国的に相次いでいます。我々、東海地協の域内においても愛知県公契約条例をはじめ、7議会(自治体)で施行され、その他にも制定の動きは進んでいます。貴局としても、国がILO94号条約を批准し、公契約法を制定するよう本省に働きかけて下さい。
2、社会保険加入促進と法定福利費の確保について
(4)元請・上位企業の不理解により、健保適用除外承認を受け適法に建設国民健康保険に加入している事業所であるにも関わらず、協会けんぽへの移行を求められる事例がいまだにあります。また、健康保険と厚生年金加入義務のない労働者5人未満の下請個人事業所に対して「法人化した上で社会保険に加入せよ」という上位業者からの誤った指導も増えています。
これについて政府は、健保適用除外承認を受けた適法な建設国保加入者は『現場入場制限には当たらない』と明確に見解を示しています。
建設企業に対して、建設国民健康保険を正しく理解し、協会けんぽに入り直す必要がないこと、根拠のない不当な法人化指導、保険加入指導はただちに止めるよう指導と周知徹底を行って下さい。
(5)国土交通省が社会保険未加入対策において示した目標期限をむかえ、実際に社会保険未加入業者の排除が進められています。社会保険加入において、法定福利費の確保は絶対条件であり、法定福利費を内訳明示した標準見積書の活用は重要な課題となっています。元請企業に対し、標準見積書の活用について更なる周知徹底を行って下さい。
3、不払い対策について
 建設業法第41条2項および3項に基づき、賃金および工事代金の立替払いによる窮状の救済を求めた場合、元請企業に法の趣旨を徹底し、立替払いによる救済を行うよう指導・勧告をして下さい。また、昨年度の不払い発生件数と解決件数、不払い発生の特徴について内容を示して下さい。
4、相談体制について
 建設業フォローアップダイヤルについて、平成29年4月17日に再周知が行われたとの事ですが、具体的に行われた周知方法・内容について教えて下さい。また、貴局による積極的な周知も要望します。
5、アスベスト対策について
 公共施設におけるアスベスト使用実態を調査するとともに、アスベスト使用建材・吹付け材の完全撤去を行って下さい。また、アスベスト使用現場での作業従事者の安全確保のため、粉塵飛散防止の対策、及び元請企業・業界団体への指導・監督を徹底して下さい。
6、建設業退職金共済の普及促進について
 建設業退職金共済制度の普及は、建設技能労働者の処遇改善と若年労働者の入職増加に向けた取り組みの1つとして有効です。制度内容の周知と普及を徹底して下さい。また、購入枚数の確認だけではなく、実際に貼付された枚数を確認させるなどして、制度普及の進捗度を示して下さい。

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