建設現場が守るべき新ルールとは
2025年6月1日より、厚生労働省は労働安全衛生規則を改正し、職場での熱中症対策を罰則付きで義務化します。暑さが厳しくなる日本の夏に向けて、建設業界としても新たなルールに沿った確実な対応が求められます。
厚生労働省の速報によると、2024年の職場での熱中症による死傷者数は1,195人。中でも建設業では216件(うち死亡8人)と、全体の約2割を占め、依然として高リスクな業種であることが浮き彫りになっています。さらに、死亡事例の7割近くでは、緊急時の対応体制が整備されていなかったという報告もあり、法改正の必要性が強く意識されています。
新たに義務化される対策とは?
今回の改正では、「屋外や高温多湿な屋内で作業する事業場」に対して、次のような明確な義務が課されます。
- WBGT(暑さ指数)を測定しその値に応じた作業中止や休憩の実施
- 作業者の体調異常に気づいた際の通報体制の整備
- 搬送手順・冷却方法などを定めたマニュアルの作成と周知
- 糖尿病や高血圧など持病を持つ作業者への医師の意見を踏まえた配慮
- 教育・訓練の実施(作業員・管理者ともに)
特にWBGTの測定については、JIS規格の測定器を使ったリアルタイムの把握が基本とされ、暑さ指数が基準値を超えた場合は原則として作業中止が推奨されます。
建設現場がすべきこと
改正を受けて、現場では次のような実務的な対応が求められます。
- 空調服や冷却用ヘルメットの導入
- 冷房のある休憩所の設置、ミストや水分補給設備の整備
- 作業計画への「暑熱順化プログラム」の導入
- 新規入場者・高齢者への特別配慮
- 朝礼での体調確認・健康状態のヒアリング
入職時・夏期前の事前教育に加え、朝礼等での継続的な声かけが奨励されており、「熱中症予防管理者」を選任することも推奨されています。
