― 新年号企画 ― 気持ちを理解し看板で伝える【18.01.01】

ネットワーク作りで地元に密着

 台風被害で看板が吹き飛ばされたため、既存の鉄骨支柱をさび止めして、新しい看板の取り付け作業をしているのは村松ひと美さん(42歳・南支部所属)です。大将である父・前田秀元さん(68歳/マエダ企画代表)とお互いをサポートしながら手際よく作業を進めています。
【取材日/平成29年11月30日】

村松ひと美さん
 ひと美さんはマエダ企画に入る直前までは、介護士や言語治療士といった福祉関係の道に進みたいと、老人介護のボランティアをしたり独学で点字を勉強したりしていました。しかし22歳のころ、「家業を絶やさず続けていかなくては」と父について修業をすることに決めました。大将からは「何もやれんのやったら金は払わん」と容赦なく厳しい言葉をかけられ、週5日の仕事の他に2日はバイトを入れていました。

相手の笑顔が何より

 マエダ企画の仕事は市や地域コミュニティーから受けるバス停や地図ウオーキング、葬儀案内などの量産的なものから、店舗などお客さんと相談してデザイン等を提案する一点ものまで幅広くあります。どの仕事でも、「お客様から見てこの看板をどのように感じていただけるか」「販促、購入に繋がっていくかどうか」を意識し、設置位置やターゲット層など考慮を重ねて提案していきます。

慎重丁寧に看板を設置
 ひと美さんが打ち合わせに参加するようになって女性層のお客さんがどんどん増えました。女性の看板職人は珍しく、施主さんよりも奥さまといったように女性から気軽に声をかけてもらえます。大将はじめ男性が手がける看板とは感性の違いを感じます。女性は男性のように大きな物は欲しがらない分、細部へのこだわりが強い傾向があります。色合いや素材、照明など工夫し、あとは予算と親身になって相談します。もともと介護の勉強していたのも人と関わりが大好きだったからで、お客さんとの相談や企画することは楽しく幸せな時間です。

時には不安を抱えることも

 20年来の信頼で巧みな連携
 子どもは二人、小学5年生と3年生の女の子がいます。跡を継いでとは願ってないけど、小さいころから現場に連れて来ている分、興味はあるからもしかして…。でもそのころは景観や規制等で看板はどうなっているのかなと考えることも…。

 子どもが生まれて間もないころは、父が仕事場の横にプレハブを建てて、そこで祖母がいろいろと面倒を見てくれました。家族に支えられ、何かあればすぐ駆けつけられる環境でした。しかし、子どもだって突然何があるか分かりません。高所作業しているとすぐには呼び出しに対応できないもどかしさ。現場に出ると自分も何があるかも。それこそ東日本大震災の前日に高所の作業をしていて、一日ずれていたらと思うと背筋がゾッとすることが今でもあります。

これからの業界と私

(左から) 秀元さん、ひと美さん、元請けの諏訪社長 、母しめ子さん
 一昔前は、やんちゃだった子がとび職をやっていたりしていたけど、今は若い子が本当に少なくなりました。居てもどこかかしこまって元気がなく感じます。大将も高齢になり私も二代目として世代交代をそろそろ考える時期です。

 今後のネットワークづくりも考え、地元の商工会議所に入りました。仕事以外の付き合いもできる同世代も多く、これからは様々な業種の人とジョイントした仕事ができるように励んでいきます。建設業を取り巻く環境が改善され、活気を取り戻せるといいと思います。

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