平成28年9月15日(木)、東海四県で構成される全建総連東海地方協議会(東海地協)は、国土交通省中部地方整備局にて交渉を行いました。これは、その時々の国の施策に対しての要望や発注部局として建設労働者の処遇改善をもとめて、毎年行っているものです。
全建愛知からは横山東海地協議長(執行委員長)、戸田賃金対策部長、吉田書記が出席。全建総連・他県組合役員を含む10名で交渉に臨み、整備局からは奥野総務部契約課課長代理をはじめとする5名が対応しました。
最初に横山東海地協議長より「2013年以降、公共工事設計労務単価は連続して引き上げられましたが、我々建設職人の賃金にはまだまだ反映しておらず、上昇すべき賃金との差は大きくなっています。また、技能者の高齢化・離職が進む一方で、入職者には低賃金や不十分な社会保障等労働環境の悪さにより厳しい状況です。これらの実態を理解していただき、適正賃金確保・労働条件改善にご尽力いただきたい」と交渉の趣旨を述べた後、6項目からなる要請書を手渡しました。
要請内容
1、建設労働者の適正賃金・単価の確保について
(1)設計労務単価の連続した引き上げは、政策的に技能労働者の賃上げを
求めるものと理解していますが、その実効性が問われています。私た
ちの調査では、現場に従事する者の賃金は公共工事、民間工事問わ
ず、上がってはいません。このままでは魅力ある建設業とは程遠い現
状を打破する事はできず、危機的状況です。貴局発注の公共工事にあ
たっては、公共工事設計労務単価の日額水準を下回らないようにして
下さい。また、末端労働者に適正な賃金が支払われるよう、受注業者
に対する指導を徹底して下さい。設計労務単価と実際に労働者が受取
る賃金に隔たりがある場合には改善に努め、適切な賃金が確保される
よう実効性のある指導を強化して下さい。
(2)国土交通省土地・建設産業局長通達「下請契約及び下請代金支払の適
正化並びに施工管理の徹底について」により建設業4団体に対して通
達が出されていますが、貴局でも地域の元請企業に対して同様の要請
をお願いします。
(3)4月1日より愛知県及び豊橋市でも公契約条例が施行されました。全
国的に公契約条例の制定が相次いでおり、建設労働者の賃金確保に一
定の効果が見込まれます。貴局としても、国がILO94号条約を批
准し、公契約法を制定するよう本省に働きかけて下さい。
2、社会保険加入促進と法定福利費の確保について
(1)国土交通省が社会保険未加入対策の目標とした2017年4月まで1
年を切りました。現在、法定福利費の確保において標準見積書の活用
が進められていますが、活用の実態は低調です。2016年5月20
日に行われた第6回社会保険未加入対策推進協議会の資料によると法
定福利費が内訳明示された見積書の提示を働きかけていない理由で
「注文者から法定福利費を受け取っていない工事があるため」という
回答が25%となっています。引き続き標準見積書活用における建設
業界への指導改善をお願い致します。
(2)国土交通省が示した2017年4月以降の取り組みとして、元請企業
の下請企業に対する指導責任の強化(検討中)、公共工事における社
会保険未加入企業の排除、直轄工事における2次以下の対策(検討中
)、建設業者等企業情報検索システムに加入状況の情報を追加(準備
が整い次第)とありますが、いずれも実効性のある取り組みをお願い
します。
3、不払い対策について
建設業法第41条2項および3項に基づき、賃金および工事代金の立
替払いによる窮状の救済を求めた場合、元請企業に法の趣旨を徹底し、
立替払いによる救済を行うよう指導・勧告をして下さい。また、昨年度
の不払い発生件数と解決件数、不払い発生の特徴について内容を示して
下さい。
4、相談体制について
昨年、国土交通省で建設業フォローアップダイヤルのポスターが3万
部作られたとのことですが、貼られていない現場が多く見受けられま
す。今年は貴局でポスターを作成し、現場に貼っていただき、周知徹底
していただくよう要望します。
5、アスベスト対策について
公共施設におけるアスベスト使用実態を調査するとともに、アスベス
ト使用建材・吹付け材の完全撤去を行って下さい。また、アスベスト使
用現場での作業従事者の安全確保のため、粉塵飛散防止の対策、及び元
請企業・業界団体への指導・監督を徹底して下さい。
6、建設業退職金共済の普及促進について
4月1日より建退共制度が改定されました。この制度は若年労働者に
とっても魅力の一つです。制度改定の内容の周知と制度の普及を徹底し
て下さい。また、購入枚数の確認だけではなく、実際に貼り付けされた
枚数を確認し、制度普及の進捗度を示して下さい。