建設工事の請負代金の支払に関する紛争の未然防止【14.02.28】

寄せられる苦情など

 国土交通省の建設業担当部局に寄せられる苦情・相談(平成24年度/約3千6百件)の内、その約7割が建設工事の請負代金等の支払に関する問題です。

 請負代金の支払の問題は、基本的には契約上の債権債務に関することであるため、行政は介入できず、当事者間による解決が原則となります。(弁護士・建設工事紛争審査会の活用、建設業取引適正化センターへの相談による対応)

経営上の重大なリスク

 請負代金の支払いに関する紛争は、その解決を図るため、それぞれの当事者に経済的・時間的・労力的な負担が生じ、その間の資金繰りが悪化して、再下請負人に対する代金や技術者・技能労働者に対する賃金の支払い遅延が生じた場合、取引先や雇用者からの信用低下につながるなど、その後の経営上の重大な問題に発展する恐れがあります。

 請負代金の支払に関する苦情・相談の大半は、書面契約を交わしていないこと等が原因となって発生しています。

 建設業者は、その場での口約束は、経営上の最大なリスクと認識し、請負代金の支払に関する紛争の発生を未然に防止するために書面契約を交わすことが必要です。 

契約内容の書面化

 建設業法では、後日の紛争防止及び請負契約の片務性の改善を目的として、建設工事の請負契約の当事者(元請負人・下請負人)に対して、事前に書面による契約を義務づけています。

 特に、請負代金の支払に関する紛争は、後日、変更内容に関する当事者間の主張が食い違うことにより生ずる場合が多いため、契約内容を変更する場合は、速やかに書面化により変更契約を締結する必要があります。

 速やかな変更契約書作成等が困難な場合は、当事者が合意した変更内容を書面化し、相互し合うことが必要です。

 これらの書面は、後日、紛争が生じた際、自らの債権債務を主張する重要な証拠となります。

 契約内容の書面化にあたっては、当該契約が事業主間の契約(請負契約)なのか、事業主と労働者間の契約(雇用契約)なのかを意識して作成することも重要ですが、工事途中に作業が追加されるときには、特に、留意する必要があります。

建設業法第19条の内容

・建設工事の請負契約の当事者は、契約の締結に際して法律で 定める14の項目(工事内容・請負代金額・工期・紛争の解決 方法等)を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。 

・建設工事の請負契約の当事者は、請負契約の内容で上記の項目に該当するものを変更するときは、その変更の内容を書面に記載し、署名又は押印をして相互に交付しなければならない。 

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