新年号 特別企画(1)/右谷香津子さん【19.12.24】

妥協は絶対許さない

右谷香津子さん
 長年の目標でありました「13,000人の組合」を、20年越しに昨年7月に達成し、新たな目標「めざせ!15,000人の組合」に向け、役員等一丸となり組織拡大行動に取り組んでいます。

 県下最大の組合である全建愛知には、女性組合員が350人ほど(3%未満)加入していて、組合全体からするとわずかです。

 そこで、女性組合員の右谷香津子さん(44歳・キッチン取付工・津島支部所属)にスポットを当て男性に混じりながら額に汗をかき力強く励む姿を1日密着取材しました。

始まりは物作りが好きから

力強い目つきで、ドリルを扱う右谷さん
 「幼い頃から、手先が器用なこともあり、物作りにとても興味がありました。今の仕事は、本当に天職だと感じ毎日楽しく仕事をしています」と、笑顔で話す右谷さん。

 手に職をつけたいと思い高校は、市工芸(名古屋市立工芸高等学校/東区)のインテリア科に進学しました。

 卒業後は、機械製造を扱う会社の事務員として2年勤め、その後、高浜職業訓練校に入校し建築設計の技術を身に付けました。

 七宝町にある新たな勤め先では、オーダーメイドのキッチン関係の設計に携わりCADをやっていました。丁度、この会社で、後の親方となる三浦雅彦さん(45歳・キッチン取付工・津島支部所属)と出会いました。

親方と出会い、今がある

照明を取り付ける作業
 その後、三浦さんが職安に求人を出しているのを見て、早速、電話をしました。

 最初は、なかなか応じてもらえませんでしたが、仕事に対する考え等を話していると、次第に熱意が伝わり何とか採用にこぎ着けました。

 三浦さんは、とても厳しい親方でした。下積みの頃の仕事内容は、現場にキッチンが搬入されてくるときに、梱包に使われていた段ボールはがしの毎日を1年続けていました。

 技術はもちろん、それ以前に職人としての心得も厳しく指導されました。

 当たり前のことですが、1から礼儀作法など教わり、心身が養われました。

 何より、私が女性であろうが、男性従業員と同等に分け隔てなく扱ってもらえたことが、とても嬉しかったです。

毎日が新鮮で楽しい

 独立後は、オーダーメイドのキッチンを扱う会社の常用の下請けとして仕事を受けています。

 大変高価なキッチンで、1つ1つの部材はしっかりした物です。

 使い方によっては、30年~40年は使ってもらえます。

 オーダーメイドになるので、2つとして同じキッチンは存在しない、正に世界に1つだけのキッチンです。「どんな方が使うのかな」「とても素敵な天板だな」とか、1人楽しく想像しています。

 そんなキッチンを現場で見ながら、東海四県色んな現場に出向き組み立てるのが、とても楽しいです。

感謝の言葉が励み

 妥協は許されません。

 プロの職人である以上、確実な出来栄え、正確さが追及されます。

 わずかコンマ5ミリの寸法の世界です。油断や気を抜くことは出来ません。毎日が真剣勝負です。

 お施主さんから、「ありがとう」や「頑張ってね」など、暖かい言葉を掛けてもらえると、全ての苦労が報われます。

 毎日、最低3回は使うキッチンですから、役割はとても重要なものです。なくてはならない大切なキッチンだから、いつまでも女性目線・主婦目線を忘れず使う方の気持ちになって、これからも取り付けていきたいです。

仲間から熱いエールを/先輩 立田文広さん

立田文広さん
 「私から見て可愛い娘の様な彼女は、いい腕をもっていますよ。

 人一倍責任感も強く安心して、どの作業も任せられます。また、現場では、他業種の職人さんも何人か出入りしますが、どの職人さんにも気配りや気遣いができます。

 心優しいところがある反面、とても負けん気が強く、男勝りな性格です。その甲斐もあり、今に至ると思います。

 これからも、更に頑張って向上していってほしいです」

仲間から熱いエールを/元親方 三浦雅彦さん

三浦雅彦さん
 「職安に求人を出していて、そこに右谷さんから使ってほしいと電話がありました。

 前から、顔は知っていましたが、電話があったときは、この厳しい建設業界で本当に勤まるのか、正直不安でした。

 しかし、右谷さんの仕事に対する思いに負けました。いざ一緒に仕事をしてみると、想像をはるかに越える努力家だと知りました。

 この仕事は、毎日が勉強です。これからもお互いに日々精進していきましょう」

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