東海4県で構成される全建総連東海地協は、国土交通省中部地方整備局交渉を10月6日(火)に行いました。これは、その時々の国の施策に対しての要望や、発注部局として建設労働者の処遇改善をもとめて毎年行っているものです。
全建愛知からは横山執行委員長、戸田賃金対策部長、田中係長が出席。全建総連・他県組合役員を含む11名で交渉に臨みました。
最初に杣川東海地方協議会議長より「国土交通省では設計労務単価が引き上げられましたが、まだまだ現場で働く我々の賃金に反映されている状況にはなっていません。若者が入職しないと技術の継承も危惧される状況になっています。行政においても配慮して取り組んでいただきたい。」と交渉の趣旨を述べた後、5項目の要請書を手渡しました。
要請内容
1、建設労働者の適正賃金・単価の確保と後継者対策について
1)国土交通省は、建設業団体、公共・民間各発注者に対して、技能労働者への適切な賃金水準を確保するよう指導しています。今回の公共工事設計労務単価の引き上げも、政策的に技能労働者の賃上げを求めることと理解できますが、その実効性が問われています。貴局においても、技能労働者への適切な賃金水準の確保について業者等への指導を徹底して下さい。
2)中部地方整備局の発注工事において、建設現場に従事する建設労働者の適正な賃金・労働条件を確保し、安全かつ優良な公共事業を推進するため、公共工事設計労務単価の日額水準を下回らないように、受注業者に対しての指導を徹底して下さい。また発注者の責任において、労務単価、下請代金、安全対策等が適切か否かを立ち入り調査し、実際に労働者が受け取る賃金が設計労務単価と隔たりがあった場合には、速やかに解消に努めて下さい。
3)賃金下落、労働条件悪化や将来的な不安などにより、建設産業を離れる人が増加、建設労働者は減少の一途をたどり、後継者不足が深刻化しています。建設労働者の後継者対策についての貴局の見解と、現状どのような対策を講じておられるのか、お教え下さい。
4)全国的に公契約条例の制定が相次いでおり、建設労働者の賃金確保に一定の効果を上げています。貴局としても、国がILO94号条約を批准し、公契約法を制定するよう本省に働きかけて下さい。
2、社会保険加入促進と法定福利費の確保について
国土交通省は、2017年までに建設業の社会保険加入率を100%にする目標を達成するため、許可行政庁による加入指導の前倒しを打ち出しました。いっぽう、現場では依然として誤った認識による加入指導、とりわけ労働者が五人未満の個人事業所に対する協会けんぽへの加入指導が上位企業から行われています。社会保険未加入対策を適正に進めるため、一層の啓発と周知の徹底をお願いします。
また、法定福利費に関して、今年3月に改定された下請指導ガイドラインでは、支払総額の増加を避けるため、その他経費との間で減額調整する行為などは「厳に慎むこと」と表現も強められました。ガイドラインの徹底など、社会保険の加入促進に欠かせない法定福利費の確保に向けた取り組みを強化してください。
3、倒産・不払い対策について
建設業法にもとづく元請責任を果たさず、立替払いを拒否する特定建設業者が存在するとすれば、それは立替払いをしなくても済んでしまうということにもなりかねず、法令を遵守し立替払いをしている企業との間で大きく均衡を欠きます。賃金・下請工事代金の不払い解決に向け、貴局として次の対策を強化して下さい。
1)建設業法第41条2項および3項にもとづく特定建設業者である元請への「立替払い」の勧告を出して下さい。
2)倒産や不払い問題に迅速に対応するため、建設業法を遵守するよう企業に働きかけ、中部地方整備局としての役割(相談・指導体制)を強化して下さい。
3)不払い相談があった場合、どのような対応をとられていますか。また昨年度(26年4月から27年3月)の不払い相談件数と解決件数を教えて下さい。また特徴点があればお示し下さい。
4、防災対策について
地元の要望に基づいたインフラ整備と、耐震改修など防災型事業を推進し、地元建設事業者の施工能力の維持向上と受注機会の拡大に向けて有効な施策を講じて下さい。併せて、国民が安全に暮らせるよう、既知の危険個所については直ちに対策を具体化して下さい。
5、建退共の普及促進について
建設業退職金共済制度(建退共)の普及の徹底と同時に、貼付実績の報告を求めて下さい。